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・天国の門

 出前である。珍保長太郎は愛用の業務用自転車に出前箱をぶら下げて走っていた。この業務用自転車というのが、ひたすら重い。重いがじょうぶでよほどのことがないと壊れない。珍保長太郎は気に入っていた。名前をチンポ号と名付けた。人前ではなかなか言いにくい名前である。
 戦前から存在する歴史的な建造物である和田堀給水所の横を通って羽根木の住宅街に入る。貧困な代田橋のスラムな雰囲気がだんだんと少なくなり、閑静な住宅地になる。このまま、まっすぐ行って代田に入るとこんどはちょっと金持ちっぽい雰囲気に変わるのだが、途中で曲がって東松原商店街の方に向かう。小かん寿司を通り過ぎたところで右に曲がって、しばらく進むとあるのが、目的地、老人ホーム『天国の門』である。
「入るときには生きているが、出るときは死んだときだ」珍保長太郎は、ここの門をくぐるたびに警句のようなものを吐かずにいられない。特に意味はない。
「遅いじゃないの!この腐れラーメン屋ッ!」愛のある言葉で迎えられた。相手は天使のような人柄で知られている介護士のミザリー。外人が働いているわけではなく、珍保長太郎が勝手にそう名付けているだけだ。本名は神保千穂。職員は名札に名前が書いてある。
「ああ、すいません。うちの生麺がストライキを起こしていまして、説得するのに時間がかかりました」珍保長太郎は機転のきいたことを言おうとして、意味のないことをつぶやいた。
 ミザリーはあまり感心してくれなかったようだ。「ただでさえまずいのに、こんなもの伸びてしまったら、すでに人間の食いもんじゃないよッ!犬の餌以下だよッ!犬だって匂いを嗅いで、嫌な顔をしてまたいで無視するよッ!犬マタギ、とでも名付けたいところだねッ!」全力で嫌味をぶつけるミザリー。心の中は憎しみだけでできているのであろう。頭は大阪の漫才師でしか見ないようなおばさんパンチパーマ。そこになぜか派手な大きな色のリボンをつけている。今日はピンク色だ。
 ピンクちゃん、とでも呼んで欲しいのか……。珍保長太郎はちょっといらいらしてきたが、口では「むう……」と唸っただけだった。余計なことは言わず出前箱から、ラーメンドンブリをいくつか出す。老人ホームの奥の方でミザリーを呼ぶ声がした。
 チッ!いまいましそうに舌打ちをするミザリー。怖い。「また、大山田さんだわ。この死にかけ老人めッ!ほんとうに早く死んでくれないかしら。人間なんて生きていても意味はないのにッ!」
「すると人間の命など虫けらほどの価値もないというのですか?」珍保長太郎は、さりげなく聞いた。
「なに!?」ギロリと身の毛の凍るような顔で睨みつける漫才師のような頭のオバサン。「よけいなことを言ってないでラーメンは憩いの場に運んでおけッ!」ミザリーは奴隷に命令するように言った。
「ははあ」平伏する珍保長太郎。ミザリーは奥の方に去っていった。ラーメンドンブリを運びながら、珍保長太郎は厳しい目つきでミザリーの後ろ姿を見ていた。

 こういう人の命をなんとも思わないような人間が連続殺人をするのではないだろうか。

「ウンコキラーか?」珍保長太郎は小声でつぶやいた。ウンコキラーは男と思われているが、捜査を撹乱するために性的に異常な好みのある女が男のふりをしている可能性もあるのではないか……。ワニのような目つきで珍保長太郎は根拠のない推理を重ねた。

 憩いの場。
「いつもありがとうございました」こちらでは、すがすがしい声に迎えられた。若い介護士の小杉浩子である。
「どういたしまして、こちらこそ」ミザリーの毒気にげっそりしていた珍保長太郎は愛想よく答えた。「いつも出前を頼んでくれてありがとうございます。まずいラーメンしか作れなくてすみませんね。もう人生にやる気がないんですよ」
「ええ、ほんとうにまずくて……。いえ、安くて量だけは多くて満足していますよ。私はけっこうたくさん食べるので」
「ははあ」珍保長太郎は話しているだけで、すがすがしい気分になった。可憐な野の花のようだなと思った。まだ、20代か。気は優しそうだが、ちょっと神経質そうな線の細さがある。もっと無神経なずうずうしいタイプでないと、こういうブラック体質な介護業界では生き残るのは難しいのではないか? と珍保長太郎は、この若いスタッフを見るたびに思うのだが、余計なお世話というものだろう。
 珍保長太郎はこの女に『キャリー』という呼び名をつけていた。ミザリーと対ということである。

・麻原が待っているぞ

 ラーメン珍長。うんざりすることにバカこと新実大介に、珍保長太郎にすっかりなつかれてしまった。
「おかえりなさいませ、店長様」店に戻ったらバカが三つ指をついて出迎えた。珍保長太郎の顔が凍りついた。一週間くらい前から、バカが客の立場を越えて、勝手に店の手伝いをするようになっていた。
「なつかれたくないやつに限って、なつかれてしまう」珍保長太郎は、ひとり言を言った。頭の中で考えていることがそのまま口から出てしまうのである。近代化が進む前の人類はこういう調子だったらしい。
「いやあ、なつかれたくなくても勝手になついてしまいますよ、店長。ここも掃除しておきますね。汚いなあ。開店してから一度も掃除してないんじゃないの? ほこりほこり。ごみごみ」バカは厨房に入る。なにやらごそごそとホウキやフキンで掃除を始めた。その姿を見ているとゴキブリにしか見えない。ちゃんと風呂に入っているし、別に不潔な若者ではないのだが、その全存在と動きがゴキブリっぽいのである。それとちょっと皮膚がヌルヌルしている。
「住居不法侵入であるッ!」珍保長太郎はバカがあまりつけあがらないうちに、追い出そうと思い、明白な事実を断言した。そうすれば、このゴキブリは出ているのではないか。
「まあ、いいではないですか。給料などはいらないから弟子入りさせてください。ラーメンなんかも店長作るの下手じゃないですか」
「なに!?」珍保長太郎は血相を変えた。
「そもそも、もうあまりラーメン屋やる気がないでしょう、店長? その態度が味に明白に現れていますよ」バカは非難の目つきで珍保長太郎を見つめた。
「うっ」珍保長太郎は真実をつかれて絶句した。
「ラーメンだって、今後は私が作るのを手伝いますよ。こう見えても東京の有名ラーメン店はほとんど食べ歩きましたからね。自分で言うものなんですが、作るのもうまいですよ。少なくとも店長の10倍はうまいです」自信満々に言うバカ。
「いちいち言うことが腹が立つ。どうしたら出て行くのか。このゴキブリ」睨みつける珍保長太郎。こういうごりおしでくる人間が苦手なようだ。
 バカは厨房の床に転がっている腐った野菜を集めて段ボールに入れた。捨てようとすると珍保長太郎がどなった。
「それはゴミではないッ!」
 店長の意外な叱咤に目を白黒とさせるバカ。「……だって、どれもこれも半分くらい腐ってるじゃないですか。このタマネギなんてウジが湧いてますよ!店長は老眼だから見えてないのかも知れませんがひどいもんですよ」
「腐っていても、洗ってきれいな部分だけつかえば、まったく問題はない!そもそも、肉などと違って野菜には腐るという概念はないのである!古くなって溶けたり、かびたりするだけである。ウジが湧くくらい熟成してはじめて野菜は、おいしくなるのである!」自信満々に気の狂った自説を展開する珍保長太郎。
「おいしくなるったって、そもそも、店長のラーメン、ひどくまずいじゃないですか。きっとその理論は間違ってると思うなあ。いや、でも、そんなことはどうでもいいんです。俺は店長の人間性にほれたんですから。行動とかは問題ではありません。今から地下鉄丸ノ内線にサリンをまきに行くぞ、と言われたらよろこんでまいて、死刑になります」うっとりした目で言うバカ。腐った目玉が脂でぬるぬるしている。
「麻原あつかいか……」珍保長太郎は機嫌が悪くなって、だまってしまった。だまってしまったことで、このバカの弟子入りが既成事実になってしまったのであるが、珍保長太郎はそこまで頭が回らなかった。そもそも、頭が良かったら、こんなまずいラーメン屋をやっているわけがない。
 ふてくされてスポーツ新聞を読む珍保長太郎のわきで、バカはラーメン珍長をピカピカに磨き上げていた。
 しかしながら、弟子ができて助かったことがひとつある。出前がやりやすくなったのである。
「店長、行ってらっしゃいませ」入り口でぎょうぎょうしく三つ指をついて珍保長太郎を見送るバカ。商店街の近所の人たちがなにごとかと見に来たので珍保長太郎はハラワタが煮え繰り返った。おそらくバカは自分の献身的な行為に酔っているのであろう。不愉快きわまりない。
「であっ!」ドスッ!と珍保長太郎はバカの顔面を足蹴にした。
「ギャッ!」バカは噴水のように鼻血を噴出しながら、ゴロンゴロンと転がって店の中に入った。ピシャッ!とドアを閉める。
「うう〜うう〜」ガラスの向こうでバカのうめき声が聞こえた。いい気味である。
 珍保長太郎はむっつりした顔で出前箱をぶら下げた業務用自転車にまたがった。おもしろそうに見ていた商店街の近所のおやじをひき殺そうと、猛ダッシュで走り出したが、寸前のところで逃げられてしまった。


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・ウンコラーメン

 ラーメン珍長。バカこと新実大介がまた来ていた。店長に襟足を掴まれ顔面から地面に叩きつけられたのに、こりもせずまた来るとは……。翌日、なにごともなかったように、暖簾をくぐってバカが入ってきたとき、珍保長太郎は自分の目を疑った。それからはさらに来る回数が増えた。毎日来るどころか昼と夜に二回來する。まったく理解ができない。薄気味悪い。珍保長太郎はバカが少し怖くなってきた。

 こういう尋常ではない神経の動きをする人間……。こういう異常者がウンコキラーなのではないだろうか?

「連日の真夏日でクソ暑いですけど、こういうときにラーメン珍長で食べるギタギタの背脂が3センチくらい層をなしてるラーメンほど、うまいものはないですな!かーっ!たまりませんな!」脂汗をだらだら流して食ってるバカ。不潔な長い髪が顔の脂にくっついている。珍保長太郎は人殺しを見るような目で、誰も聞いてないのにペラペラしゃべってるバカを警戒して見つめた。
「この脂!この脂!ガッツリ!ガッツリ!」ずるずるずる。麺をすするバカ。「うめぇうめぇ!」
「ブタのほうがよほど上品に見えるな」
 がらがらがらがら。そのとき、客が入ってきた。リーゼントの若い男が二人。前にも見たことがある。ヤンキーである。車体を低くした改造車に乗っている。いつの時代の話だ。さすが魔界都市、代田橋である。おそらく、現実世界とは時空の流れが違うのであろう。珍保長太郎はこの二匹に、暴走族1、暴走族2とそのままの名前をつけていた。
 暴走族1はなにかを注文しようと店長の視線を捉えた。だが、さきに珍保長太郎が口を開いた。
「ここはペットショップではない」へんなことを言い出す珍保長太郎。けっして上機嫌とは言えないようだ。
「はあ……」飛躍した会話に目を白黒とさせる暴走族1、2。やはりヤンキーなので知能は低いようだ。
「当店では猿にやるエサは置いていない」
 いきなり客に宣戦布告をする珍保長太郎。凄みのある表情を浮かべたつもりだったが、凄みというよりは異常だった。目の玉が扇風機のようにくるくると回っていた。
 催眠術をかけられそうになった暴走族1が我に返ってどなった。「なんだらこったらぺんてこッ!」気が違ったようにわめき散らしてるのでなにを言ってるかよくわからないが、文字にするとこんな感じだった。
「ウッキーッ!キキキキーッ!キキキキーッ!」こちらは暴走族2。1よりさらに知能が低いようだ。
「キッココ!キッココ!キキッココッキッココーッ!」猿山の猿にウンコを投げつけたくらいの騒ぎになった。
「ひょええ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」気の弱そうな声をあげたのがバカこと新実大介。クソオタクなので力が弱い。以前は店長を崇拝してるようなことを言っていたのだが、いざ、危機が訪れてみると逃げる気が満々である。問題がおこると真っ先に裏切るタイプだ。ラーメンドンブリを置いて、こっそりとカウンターの奥に隠れた。
「俺らはただラーメンを食いに来ただけなのに、この対応はなんだ!俺は傷ついたぞ!ああ、傷ついたとも!こう見えても俺の心は繊細なんだ!あやまれ、コラッ!タコッ!こりゃあ、誠意を見せてもらって俺の心の傷が癒されるまでは帰るわけにはいかないな!」と暴走族1。
「そうだそうだ。ちゅうーちゅうーたこかいな!」と暴走族2。猿なので言ってることがよくわからない。
「やばい。店長が殺される!この調子だと、おそらく10分以内に確実に殺されてしまうだろう……」がたがた震えてカウンターからのぞいているバカ。股間がちょっと勃起していた。
「いいから早くラーメンを出せ!ああん、お前、それが一生の仕事なんでしょ?いくら客が腹の立つことを言っても、へこへこして、たかだか数百円のために人間のプライドを捨てて、ラーメンを作る!それがお前のすべてだ!」
「そうだそうだ、すべてだ!」暴走族1と暴走族2であるが、暴走族1のほうが言語中枢が発達していて、暴走族2のほうは愚鈍なようだ。長い年月の間にこういう役割分担が出来たのであろう。ヤンキーはこういう猿の上下関係のようなものを『友情』と勘違いする傾向がある。
「お前ら、猿に食わせるラーメンはウンコラーメンでじゅうぶんであるッ!」絶叫する珍保長太郎。命の危機に瀕したオペラ歌手のようにろうろうとした大声が響き渡った。
「ウンコラーメン!?」思わぬ語彙にない言葉を聞かされてとまどう暴走族1、2。もっともな話である。私も聞いたことはありません。
「ウンコラーメン!」バカも興奮して真新しい言葉を口にした。それは甘美な味がした。香水の香りの中には、大便の香りと同じ成分のものが含まれているそうだが、それみたいなものだろう。
「バカが食べ残したラーメンの少し入ったラーメンドンブリ!」ドン!と珍保長太郎はそれを暴走族の前のカウンターに置く。
 ぴょーん!
 それから猿のように身軽にカウンターの上に飛び乗った。
 ぺろん!
 薄汚れたズボンを降ろして臀部を出した!
「うわあっ、汚い尻だ!」暴走族1暴走族2が、率直な意見を述べた。バカも同じ意見だった。
 ブリッ!ブリブリブリブリ!
 なんと、その肛門から太い大便が出て来た!
「太くて長い!太くて長い!」あまりの状況の異常さと大便の臭さにうろたえる暴走族1、2。
「サツマイモのように太いウンコだ!」バカもわけわからなくなって大声を出す。お祭りに興奮する下町の人間のようである。
「ウンコ!太いウンコ!」自ら言わなくても良いこと叫びながら、珍保長太郎はドンブリの中にウンコをした。
 ゴロン!
 もちろん、そんな音は聞こえるわけはないのだが、『ゴロン』としか言いようがない風情の重量感のある大便が肛門を離れドンブリの中に横たわった。
「クジラだ……」バカが意外なことを言い出す。「知床のホエールウォッチングで見たゴンドウクジラのように雄大だ!」バカは言ってから、あっ、自分、今けっこう良いこと言ったな、と思ったが、もちろん、このようなバカの発言をまともに聞くような人間は地球にはいないので、誰も聞いていなかった。
「おいこら、ラーメン屋!だからなんだ!太いウンコしたからって、えばんじゃねえ!」とまどいながらも相手をする暴走族1暴走族2。ちょっと相手の行動が読めなくなって来たので、内心はおびえていた。
「男ならだまってウンコラーメンを食え!」論理性もなにもないことを言い出す珍保長太郎。インドの神々の中にこういう凶暴なやつがいたような気がする。
 グイッ!
 むりやり、暴走族1にウンコラーメンを突きつける珍保長太郎。食わせようとしているようだ。もちろん、食うわけがない。変態ではないからだ。必死に歯を食いしばって食うまいとしてる暴走族1の口元に、珍保長太郎は何度も激しくウンコラーメンを叩きつけた!
 ガキッ!
 とうとう暴走族1の前歯が折れた。どうやら人間の歯よりラーメンドンブリのほうが硬いようだ。
「ぐあががががっ」転がって苦しむ暴走族1。痛いだけではなくウンコが臭い。
「こんだらこっぺかーっ!アニキにあにすんだ!」言語中枢の劣ってるほうの暴走族2が店主にとびかかった。おそらく、暴走族1のほうが言語担当、暴走族2のほうが肉体担当なのであろう。
「ああっ、とうとう店長が殺される!おそらく、手足を引っこ抜かれて生きたまま内臓をひきずりだされて、泣きながら慈悲をこうて謝ってるのにむざんに殺されるに違いない!恐ろしい!」バカが期待に胸をときめかせる。チンポコの先が先走り汁で濡れていた。
 暴走族2はラーメン屋店主を捕まえようとゴリラのようなうでをのばした。相手はウドの大木のようなただのラーメン屋の店主。目標としては、逃げられる心配はない。まずは捕まえて、動けなくなるまで殴りつけてやろう、と暴走族2は頭の中ですばやく計画を立てた。こういう行動は、手慣れたものだったのである。場数はふんでいる。ほんきで素手で殴り合った体験もないような一般人に負けるわけがない……と、暴走族2はたかをくくっていたのだが。
 その伸ばしたうでを珍保長太郎は、さっと捕まえて素早くねじりあげた。バカの目からは、あまり力を入れてるようには見えなかったのだが、暴走族2のヒジの関節があっさりはずれたようだ。軟骨がねじ切れる嫌な音がした。
「意外なほど力が強い!」驚嘆するバカ。もちろん、暴走族2も驚いていたが、こちらがヒジが変な方向に曲がってブランブランしているので、激痛であまり驚嘆してるひまはなかった。
「うんだらこら〜」前歯が折れて顔がウンコだらけになっている暴走族1も、珍保長太郎にとびかかった。こちらはゴリラのような暴走族2より体格が劣り体重が軽い。あっさりと珍保長太郎にねじ伏せられた。なぜか、服をめくって暴走族1の背中をむきだしにする珍保長太郎。別に暴走族1の肌に唇をはわせて愛撫を始める気ではないようだ。そのかわり、靴の固いかかとで何度も背骨を狙って踏みつけた。
 ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスッ!
「て、店長!たかがラーメン屋での客とのケンカなのに、確実に背骨をへし折って一生、歩けない身体にしようとしている!」興奮して叫ぶバカ。見ているほうがおそろしく感じられて来た。バカはアングラ好きのネットオタクなので、グロサイトや死体画像も大好きなのだが、それでも店長の行動は常軌を逸していてまともには見えなかった。
「不具者にしてやる!不具者にしてやる!」テレビで放送できないような言葉を叫びながら蹴り続ける珍保長太郎。
 暴走族1はあまりのラーメン屋店主の狂乱ぶりに完全に心が折れた。痛みに苦しみながら有効な抵抗もできず、ただただ「背骨だけは折らないでください……」と泣きながら懇願するだけだった。
「背骨を折ってやるッ!集中治療室に送ってやるッ!一生、車椅子で生活するような身体にしてやるッ!」
 ぶくぶくぶくぶくッ!
 狂犬病のように口の端から泡を吹いて、絶叫するラーメン屋店主。楽しそうに、げらげら笑っている。ちょっと怖い。
「あわあわ」暴走族2は巨大暴力がとつぜん発現した修羅場にがくぜんとしていた。こちらは知能が低いので、思わぬ反撃にあってどうしたらいいかわからない。
「ライオンがウサギを襲ったら、そのウサギが世界一凶暴な殺人ウサギで、逆に食われそうになって、うろたえてるようなものか!」バカはむしろ、暴走族1暴走族2が気の毒になって来た。
「俺の出刃包丁が血を求めて泣いている!」絶好調な珍保長太郎はカウンターの奥に手を伸ばして出刃包丁を掴む。クルリと能役者のように回転して見得を切った。
「もうこれ以上何もしないでください!おれはもう半分くらい死んでいます!ええーん、ええーん!」号泣する暴走族1。珍保長太郎は冷たく暴走族1を無視して、出刃包丁を構えて暴走族2の目を真摯に見つめた。今から愛を告白するように……。
「もうすぐ俺の出刃包丁は血まみれになる!その血はお前の血が良いか?この肉人形のようになって転がっている男の血が良いか?」と暴走族2に究極の選択を求める閻魔大王のような珍保長太郎。
「あわわわっ。倒れてる男のほうにしてください!」一瞬もためらわず、ついさっきまで『アニキ』と呼んで崇拝していた男の命を売る暴走族2。これを見てもヤンキーの思ってる『友情のようなもの』が、じつは友情でもなんでもなく、単に猿山の力の順番争いの余録物にすぎないことがわかるであろう。
「なにを言うんだ!俺を助けるか、警察に電話しろ!」いつもは警察を敵に回し迷惑をかけているくせに、困ってる時だけ泣きつく暴走族の1。
「友人の許可が出たので、まずは背中を切り開く!」魚を三枚におろすように背骨にそって皮と肉を切り開く珍保長太郎。仕事で長年やってるだけに、包丁さばきはたくみなようだ。
ずがががががががががががががががががががががががががっ!
「ギャアアアアアアアアッ!」暴走族1の背骨がむき出しになった。
「肉がはがされ背骨が完全にむき出しになったッ!」見ればわかることをそのまま暴走族1に伝える珍保長太郎。親切な人なのかもしれない。
「痛い!ものすごく痛いッ!」当たり前のこと言う暴走族1。暴走族1は目の玉がひっくり返り、白目をむいていた。痛みのあまり、このまま死ぬということもじゅうぶんありえる。
「脊髄、取り出し!」珍保長太郎はあまり人類が発したことのない言葉を絶叫した。
「まだ、やるのかーっ!」恐れおののく暴走族1。
 グリュ! 珍保長太郎は暴走族1のむき出しになってる背骨の列の中から、一個の骨を選んで掴んだ。
 バキッ! 手首をひねり、脊髄をへし折る。暴走族1の目玉が飛び出そうになったので、かなり痛かったことは間違いがない。
 ズッポン! イワシの塩焼きから小骨を取るように脊髄を一個抜いてから、すばやく、上と下の脊髄を繋げて隙間を戻した!だからと言って、元通りにはならないと思うのだが……。
「お前の背骨!」わざわざ、本人に見せる珍保長太郎。自分の背骨のひとつを目の前で見たことがある人間は世界で暴走族1ただひとりではなかろうか。反応がないの珍保長太郎は同じ台詞を繰り返した。「お前の背骨!」
「見せるなーっ!」答えを求められてるように感じたので暴走族1は、残りの力をふりしぼってつきあってやった。
「お前の友人の背骨!」続いて暴走族2にも見せた。
「もうじゅうぶんですっ!」暴走族2は失禁して泣いていた。
「次は脊髄、一個ではすまないからな……」 なぜか、威風堂々と宣言をする珍保長太郎。満足したようだ。今日はインドの怒り狂った神々のようにあらくれてしまった。
 ラーメン屋店長の許しが出たのように感じたので、暴走族1、2はお互いの身体をかばいながら店を出て行った。近くの路上に違法駐車してる改造車にたどり着ければ、命はなんとか助かるかもしれない。代田橋商店街の道路に点々と血のあとが残った。散った花びらのようだ。
「まるで早朝の歌舞伎町のような、のどかな光景だ」なぜか懐古的な顔でつぶやく珍保長太郎。さわやかな表情をしている。
「す、すごいっすね!店長!俺、かんぜんに店長にホレました!」隠れていたカウンターから出てきたバカが、発情した猿のように店長を見つめた。「弟子にしてくださいッ!」このままでは、今にも、ズボンを脱いで肛門を突き出すか、店長のズボンのチャックを開けてフェラチオを始めそうである。ほんとうに気持ちが悪い。
「お前の脊髄の数が正常なうちに俺の前から立ち去れ。さもなくば、もうすぐお前の脊髄は数が減ることだろう……」ノストラダムスの大予言のように珍保長太郎は断言した。



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頭からやり直し。

『ウンコキラー』

・ウンコ殺人事件

 あなおそろしや。あなおそろしや。ここは呪われた街、代田橋である。呪われてるだけあって、ろくなことが起きない。
「ああ、漏れる漏れる……。おしっこが漏れてしまう……」と身もふたもないことをつぶやきながら小走りに歩いているのは、豊満な女子大生である。北林まどか、20歳。歩くたびに爆乳がブルンブルンと揺れる。
「これはいけない。このままでは、口からおしっこが吹き出てきて死んでしまうわ……」青い顔で北林まどかは考えた。こんなことになるなら、代田橋の汚い駅のトイレで用を足せばよかった。でも、なんとなく家のトイレで間に合うような気がして、駅の改札を出てしまったのだ。
 今日はバイトの帰りだった。深夜11時過ぎ。呪われた街、代田橋と言われるだけあって、こんな遅い時間帯になると通りにひとけはない。
 夜道を急ぐ巨乳女子大生の前に青いタイルの古い巨大なマンションが現れた。ステーションヒルズ代田橋。陰気なビルである。近所では幽霊マンションと呼ばれている。かつては、どうどうとした高級分譲マンションだった。ところが60年近い月日が経つうちに、テナントも住民もほとんど出て行っていなくなった。残っている住人は棺桶に片足が入ってる老人ばかり。こうなると管理費の名目で積み立てられるマンションの修繕費が集まらない。高すぎて払えないのだ。
 かくして大型マンションの老朽化は進む。一階と地階はマンションや近所の住人に便利な商店街になる筈だったが、こんな状況なのでテナントがどんどん出て行き、今では一階にコンビニと激安八百屋があるだけ。地階は倉庫に使ってる会社がいくつかあるが、あとはぜんぶ空きテナントになっている。
 たまに不動産屋から購入希望者が見に来ても、価格のわりに薄汚い外観を見てがっかりし、さらに割高な管理費と積み立て修繕費を知ってあきらめて帰ってしまう。おかげで今ではすっかり不気味な要塞のような建物になってしまった。このビルについてのネットの書き込みを見ても『出る』とか『怖い』とか、そういう話ばかりである。
 この地下のフロアに公衆トイレがあることを、北林まどかは思い出した。入るのはいやだったが他に選択肢はない。街頭でおもらしをするか、幽霊マンションでおしっこをするかである。北林まどかは幽霊にも親切心があって、失禁しそうな女性には悪事を働かないでいてくれる……、そんな幽霊の性善説を期待して、コンビニの横にある薄暗い階段を降りて行った。
  さいわいにもトイレは階段を降りてすぐのところにあった。夜中はドアに鍵がかかってるのではないか、とふと思いついたが、管理人がもう管理を放置してるのか、ドアノブを回すとふつうに開いた。
「ふう」大きな障害はクリア。北林まどかは一安心した。安心した途端に漏れそうになってきたので、パンツを下げてあわてて便座に座る。
 じょおおおおおお、じょぼじょぼじょぼ。
 大量の小便がナイヤガラの滝のように流れ出る。壮大な光景だ。
「危機は去った」北林まどかは勝利宣言をした。だが、それはすこし早すぎたようだ。
 ガチャ。
 個室のドアを開けて出ると、無言の男が立っていた。北林まどかの顔は硬直した。無言で小便を出している音を聞いていたらしい。目つきがおかしい。
 キチガイだわ。
「あのう、ここは女子トイレですけど……」北林まどかは、この男がキチガイはキチガイでも、あまり他人に害を与えない『よくいる町内の変人』みたい人であることを祈って、まともなことを言ってみた。
「ウンコ」男が意外なこと言い出す。手にサツマイモみたいものを握っているのが見えた。もっとよく見ると、それは石のように硬くなったウンコだった。「石のように硬いよ」
 これはやばい。『町内の害のない変人』というレベルではないように思われる。
 ドン!
 そんなに力が強いタイプには見えなかったので、北林まどかは男を突き飛ばして逃げようとした。
 ガシッ!
 ところがあっさり男に捕まりねじ伏せられてしまった。男は巨乳女子大生の口を塞いで、今出てきたトイレの個室に引きづりこんだ。
「見た目より力が強いッ!」男のウンコ臭い手で口を塞がれながら、北林まどかは叫んだ。これが彼女の最後の言葉になった。

・ラーメン珍長

「ウンコキラーか」珍保長太郎は、ラーメン珍長のカウンターの中でつぶやいた。もごもごして滑舌が悪い。2m近い大男である。巨乳女子大生がウンコを持った精神異常者に襲われたマンションは、駅を挟んで反対側にある。珍保長太郎はそこの一階にある八百屋をよく利用していた。極端に安いのである。安いがもちろん質が良くない。おそらく、どこかで捨てられそうになっている『訳あり』の野菜をかき集めて売っているのではないか? または、もっとストレートに市場で捨てられてるゴミを拾ってきているのかもしれない。
 こりゃあ安いわい、と買ってきても、ニンジンなんかは根っこの先が腐っていたりする。だが、それを食うのは客なので珍保長太郎は、まったく気にしていなかった。
「代田橋殺人事件ですか、店長?」
 珍保長太郎は客に声をかけられて新聞から顔を上げた。不愉快な気分である。黙って睨みつけた。だが、客はまったく気にしなかった。
「実は口の中にウンコを詰め込まれて死んでいたらしいですよ。これは一般のニュースでは報道されていませんが。俺は情報通なのでヤバネタや裏情報はなんでも知っているんですよ、店長!」と、偉そうな顔で言ってるのは、常連客のバカ。もちろん、バカという名前の人間がこの世に存在しているわけがない。珍保長太郎が勝手につけたあだ名である。確か本名は新実大介と言った。何回目か来た時に誰も尋ねていないのに勝手に自己紹介を始めたのである。本当にウザい人間のクズだった。
「ウンコか……。ウンが悪かったってやつだな。ぎゃはっはっはっはっ」珍保長太郎は理性のかけらも感じられないような、思い切りくだらないギャグをとばせば、このバカも嫌になって帰るのではないかと期待して言った。
 一瞬、バカは無言になって店長を見つめた。それから、おおっ神よ!なんということだろう。破顔して爆笑してしまったのである。「ぶははははッ!さすが店長、ギャグセンスがいいですねッ!ハラワタがよじれるとはこのことですッ!」木のカウンターをドンドンと叩くバカ。
 しまった、このバカの頭のレベルにちょうどぴったりだったようだ。珍保長太郎は歯ぎしりをして悔しんだ。このバカは『ラーメン屋で店長と親しく会話をする常連客』になったつもりでいるのだろう。おそらく、どんなつまらないことを言っても、すべて爆笑する心構えでいるのではないか。

 心の底からこのバカが嫌いだッ!

 珍保長太郎は怒りに燃えて、髪の長い若い男を睨みつけた。だがバカはそんな店長のアピールに少しも気づかない。だから、バカと呼ばれているのであろう。
「それにしても、この近所に完全に気の狂った殺人鬼が野放しでいるなんで、興奮しますよね。これまで数人が殺され、さらに未解決事件のいくつかもこの犯人の仕業の可能性があると言われています。でも、きっともっと増えますよ。断言します。殺人は癖になるんです。猟奇犯罪研究家の俺が言うんだから間違いありません」力説するバカ。この『猟奇犯罪研究家』の内訳は、『マーダーケースブック』の全巻セットをヤフオクで買って読んだ、というだけのことらしい。これで研究家を名乗れるのなら、世の中、研究家だらけになって歩くこともできなくなるだろう。
「次はお前がウンコを食わされて死ねばいいのに」バカの目を見ながら珍保長太郎は率直な気持ちを伝えた。さすがにちょっと嫌な顔になるバカこと新実大介。

 よし、もう一押しだ、もう一押し嫌な気分にさせれば、このバカは二度と店に来なくなる……。がんばるぞ!

 珍保長太郎は、はやる気持ちを抑えて、バカが席を立って出て行くのを期待した。なるべく冷酷な顔をしていようと思ったが、珍保長太郎は単純なところがあるので期待が顔に出てしまいちょっと笑顔になってしまった。
 それを見てバカは『店長は俺を嫌いなのではなく、どのすぎたブラックジョークとして言ってるらしい』と、勝手に自分に都合をよく解釈した。このへんは本当にバカである。おろらく、軽度の知的障害があるのではないか?
「いや、連続殺人鬼というものはですね、秩序型と非秩序型という二通りにわかれるのですが、この犯人の場合、毎回、ウンコを食わせていますから秩序型なんですよ。だから、次回も殺されるのは女性になると思います。ほぼ、まちがいはありません」誰も聞いていないのにもかかわらず、一方的に講釈を垂れるバカ。薄気味悪いオタクに共通した特徴である。
「まあ俺はあきらかに非秩序型だな。この厨房の散らかり具合をみればよくわかる」
「まったく、その通りですよね、店長。ほんとうに人とか5、6人は殺していそうなふんいきがありますよね。ほんとうは殺ってるでしょ?ぎゃはははっ、げらげらげら」一人で爆笑するバカ。
「ほんとうに心の底からおもしろくもない」
 いらいらしてきたので、珍保長太郎はふつうに返した。バカは食うのが遅い。そのために、かんぜんに伸びきっているラーメンをまだ食っていた。珍保長太郎は、バカに食うのを中断させ襟首をつかまえ店の外にほおり投げようと決めた。手を伸ばして襟首を掴む。何事かと思ってバカが顔を上げた。
 グイッ!
 珍保長太郎はバカを手に持ったラーメンドンブリごと持ち上げた。
「うわっ」驚くバカ。
 それから、足で店の扉を開けて、全力で顔面からバカを代田橋駅前商店街のアスファルトの路上に叩きつけた。カランカラン。手にしていたラーメンドンブリが転がって走っていった。
「痛いッ痛いッ!」口から血を流して苦しむバカ。まな板の上のウナギのように、のたうちまわっている。前歯が何本か折れたようだ。商店街の通行人が何事かと思って周りに集まってきた。珍保長太郎はカーッと喉から痰を出して、ペッ!とバカの血だらけの顔面に吐きかけた。
「気分爽快であるッ!」と、珍保長太郎はさわやかに宣言して店の中に戻って扉を閉めた。
 
・熱愛恋人

 京王線の代田橋駅の北口を出て、左に曲がると大原稲荷神社がある。陰気で猥雑な感じの神社だ。神社というとありがたいものであるが、この神社はまったくありがたみを感じない。いかがわしいと言っても良いような雰囲気だ。なぜそうなのかはわからないが、そうなのだから仕方がない。ちょっと新宿の花園神社に似ている。こっちはまったくひとけはないのだが。
 そんなわけでここは熱愛した恋人たちの青姦のメッカである。深夜の2時。広い大原稲荷神社の境内の片隅に、ふたつのひとかげがあった。不倫中の中年カップルである。
「ああ、ユリ。愛しているよ」押川秀夫はそう言って、暗闇の中で女の身体をなでまわした。もちろん特に愛してるわけではないのだが、サービス精神が旺盛だったので、そういうことにしていた。
 ゆったりしたワンピースの胸をもまれて悶えるのが谷口ユリ。胸が大きすぎるのでぴったりした服は着れないとか。もちろん腹の肉もずいぶんと豊かだ。
「ユリのおっぱい、大きいね。はあはあ。とても柔らかいよ」鼻息の荒い押川。今日は二人で夕方から酒を飲んでいた。おかげですっかりベロンベロンである。ユリは女友達との飲み会に行く言って出てきていた。終電までには帰ろうと思っていたが、泥酔して押川に押し切られて終電を逃してしまった。
「そろそろ帰らなきゃ……タクシーで」ユリは興ざめのするようなことを言った。
「でも、チンポがこんなに硬くなってしまってるよ……。これじゃあ射精するまでは収まらないよ……。はあはあ」押川はユリの手を掴んで硬くなった股間に押し付けた。
「ああ、すごい。大蛇のように大きくなっている……」まんざらではないようすのユリ。押川はあたりのひとけをうかがいながら、思い切ってチンポコを出してユリの中に入れた。
「ああん、ああん」声を押し殺してあえぐユリ。そのうしろで押川は猿のように一生懸命に尻を振っていた。
「うう……、出る出る」青姦に興奮していたので、入れて30秒もしないうちにイキそうになってきた。
「ええ、もうなの?」愕然とするユリ。
「もう止まりません」ゴムをつけてなかったので、押川はいそいでチンポコを抜いた。さあ、外に射精するぞと身体が緊張したその刹那!
 シュッ!
 押川は股間になにか冷気のようなものを感じた。次の瞬間、それは火山が爆発したように熱くなった。ふと横を見ると大きなナイフを手にした男が立っていることに気がついた。暗い中でなぜ見えたかというと、反対の手に懐中電灯を持っていて、ナイフを照らしていたのである。続いて男は懐中電灯を押川の足元にむけた。
「チンポコが切れて落ちているッ!」押川は目で見たままのことを叫んでしまった。それほど、驚いたということである。また皮肉なことに発射寸前だったために、根元しか残っていない股間に射精感が湧き上がってきた。
 ドピューッ!ドピューッ!
「何が出るかと思ったら血が出てきたーッ!」しかしながらありがたいことに半分くらいは精液だった。だが、押川はあまり気持ち良さそうには見えなかった。「痛いッ!痛いッ!チンポコから精液のように血が出てるぞッ!血と精液がまざってピンク色だーッ!」
「ひいッ!」なにごとかとユリが振り返った。いつの間にか知らない男が横にいて、大きなナイフで押川の首を切り裂いていた。
「熱い!首筋がなにかで濡れている!」押川は自分の首に手を当てた。大量の血が溢れ出ていた。泥酔のために血圧が高くなっていたのだろう。噴水のように血が吹き出た。耳がキーンとするな、と押川は思った。血圧の関係で耳鳴りがしてるのだろうか。押川は意識を失い、くずれおちた。
 
・ウンコ・フェラチオ

「ひ……ひいい……」死んだ押川を見てユリは悲鳴をあげた。
「ウンコ・フェラチオ!」いやなことを言って男がにじり寄ってきた。あまり力があるようには見えない。ユリは元モデルだったので背が高い。思い切って男を突き飛ばして逃げようとした。
 ドンッ! ところがあっさり捕まった。
「思ったより力が強いッ!」男はユリの手首をがっしりと掴んだ。それから大きなナイフを振り上げ、勢いをつけて全力で手首の上に叩きつけた。
 ゴロンッ!とユリの片手が地面に転がった。またしても親切に男は懐中電灯で、それを照らしてよく見えるようにしてくれた。案外、いいやつかもしれない。ユリは驚きのあまり、数秒間は無言で落ちてる自分の手首を見ていた。それから絶叫しはじめた。
「ぎゃあああああああああああああっ!ぎゃあああああああああああああっ!」キチガイのような叫びとはこのことである。もっともな話だ。
 じょぼぼぼぼぼぼ……。
 恥ずかしい音を立ててユリが失禁する。セックスの途中だったのでノーパンだ。夕方からビールを飲み続けていたので大量のオシッコが出た。恥ずかしいが、それどころの騒ぎではなかった。
 にょっきり!
 男はズボンのチャックを開けてチンポコを出した。ずいぶんと小さい。発達障害がある人かもしれない。あきらかに日常的にセックスをしていないとわかる、短くて恥垢にまみれた臭くて汚いチンポコである。男は、その不潔なものを女の口に近づけた。
「う……ぐ……。うぐぐぐぐっ!」
 この世のものとは思えない汚いものを口に入れられて吐きそうになるユリ。チンポコなのにまるでウンコのかたまりのように臭い!
 ウンコ……。そういえば、最近、この近辺で口の中にウンコを詰めて殺す連続殺人事件が起きている。この男がそれだわ、とユリは身をもって確信した。
 じゅっぽん!じゅっぽん!そんなユリにかまわず、男はのどの奥深く何度もチンポを押し込んでは、動かしていた。ふだんのユリならば抵抗も試みようが、なにしろ片手がチョン切れて転がっている状態では、身体に力が入らない。ほとんどなすがままの肉人形になっていた。
 はあはあ……。
 男の興奮した荒い息。気持ちが良くなってきたらしい。ずっとセックスをしていない男なら、フェラチオをされるととても気持ちが良くなるだろう。そのために大量の射精をしてしまい、脱力状態に陥るのではないか? 逃げ出すならその時だ!とユリは思って、自分からも舌を使ってちょっとサービスをしてみた。
「ううっ出る出る……」男の身体がぷるぷるとプリンのように震え始めた。もうすぐ絶頂にたっする印だ。ユリはどんな臭い液体が出てくるか!かくごして待った。ところがそれは液体ではなかったのである。
「でっ出るッ!」男はユリの口からチンポコを抜いて、なぜかいきなり後ろを向いて、お尻を出した。そして、ああ、神よ!男はおぞましいことに肛門をユリの口に押し付けた。
「ウンコが出たーーーーーーーーーーーーーーッ!」男は絶叫して排便した。ブリブリブリブリ!ブリブリブリブリ! 精液とは違う、それよりもっと嫌なものが大量にのどの奥に流れ込んで来た。しかも、そのウンコが、どこまでも出る!量が多いのである。便秘気味なのであろうか。まるで一週間も大腸の中にたまっていてカチンコチンに固まっているような硬いウンコがどこまでも入って来る。
 息が出来ない……。飲み込むしかなかった。『チンポが汚い』どころのレベルの話ではない。相手はウンコである。ほんとうに嫌だったが、ユリはゴクンゴクンをウンコを飲み続けた。次々と胃の中にウンコが送り込まれてくる。だが、人間はそんなに大量のウンコを飲み込むようには出来ていない。しかも、下痢便ならともかく……それもかなり嫌だが……カチコチの便秘大便である。コンクリートを飲み込むようなものだ。たちまち、ウンコが口と喉に詰まり始めた。
「ウグッ……ウグッ……」酸素を求めてユリの肺が空気を吸おうと痙攣して震える。だが入って来るのはウンコばかり……。ウンコを吸っても人類は呼吸が出来ない。
 
 硬いウンコ……。

 ユリはウンコの硬さのことを考えながら、あの世に旅立って行った。人類が遭遇しうる最悪の死に方の一つであろう。




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極道ラーメン・相撲が一番強い!



チンポを縦に引き裂くヤクザの拷問!


多重債務者の男の家に暴力団が取り立てにやってきた。ヤクザは夫と子供の目の前で、巨乳の妻を丸裸にした! そして、中に入る様子を夫によく見えるようにしながら、生で挿入!たっぷりと中出しをした!さらに、ヤクザの子分3人に人妻は次々と犯され中出しされる!

ヤクザたちの出したザーメンで、妻のマンコがドロドロになり妊娠してしまう。彼らに逆らった子供はあっさりを殺されてしまう。怒りと恐怖で紙が真っ白になる夫!

ふがいない夫の話を聞き、歌舞伎町一のラーメン屋「極道ラーメン」の店長、万吉の怒りの鉄拳がうなる!

ページ数:66P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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極道ラーメン・ゲリベン!クソムシ!ボケナス!


奴の背中は亀のように固い!

暴力団、大空組の若き組長の小吉はまさに人間のクズだった。駆け落ちしようとした風俗嬢と若者を見せしめに皆が見てる前で丸裸にした!小吉は、風俗嬢の足を開き、マ○コの穴の中まで、全員に見えるようにした。屈辱のあまり、真っ赤になる風俗嬢。

さらに、小吉はお前らの愛の強さを確かめてやると言い、皆の前でセックスをさせた!仲間のヤクザたちに笑われながら、腰を振る若者と風俗嬢!若者は風俗嬢の中に、たっぷりと中出しをした!

あまりにひどい小吉の行動に、歌舞伎町最強のラーメン屋、万吉の怒りの鉄拳が火を噴く!

ページ数:50P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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第76回配本
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極道ラーメン・カマドウマ拳法の恐怖!


男達の熱いブルース!

田舎では美人と評判だったヤンキー女が、新宿に家出をしてきて、悪質なスカウトに騙され風俗で働きはじめる。ところが、最初に聞いていた条件とは違い、低賃金で働かされるひどい職場だった。

店にやってきた実質的なオーナー、暴力団の組長に女は食って掛かる。怒った組長は女の顔面を革靴で蹴りつけた! 悲鳴を上げて倒れた女の服を、組長は脱がしすっぱだかにした!「男の武器で調教してやる!」組長は信じられない太さのブツを女の穴にネジ込んだ!

あまりに男のモノが太いので穴が少し裂け、悲鳴を上げる風俗嬢。痛がる女を押さえつけ、ぶっぷりと中出しを決めた組長!女のマンコから、ドロドロとザーメンが流れ出た!

タコ部屋並の悪質な風俗店に、怒り狂った万吉は乗り込んだ!万吉は完膚なきまでに、すべてをたたき壊した!

ページ数:34P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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第77回配本
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極道ラーメン・レスラーもブロックで殴れば死ぬ!


チンポが太すぎてマンコが完全に裂けた!

刑務所帰りの中年親父と、それに似合わない若くグラマラスな妻が、新宿の一角にラーメン屋を開店した。強面な顔にも、かかわらず、驚くほどうまいそのラーメンに、店には行列が絶えなかった。

ところがそれを気に入らない地回りのチンピラが、レスラー崩れの大男と共に、店を潰しに掛かった!元レスラーに押さえつけられ動けない店主の前で、若妻は丸裸にされ、チンピラに貫かれた!夫にわざと結合部分を見せつけるようにしながら、チンピラはゆっくりと動かし、若妻をイカせてから、中出しした!ドロドロと夫の目の前で流れ出る大量のザーメン!

話を聞いた近所のラーメン屋、万吉の怒りが爆発する!

ページ数:50P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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極道ラーメン・新宿青鮫


男のバズーカ砲が菊門を貫いた!

悪徳刑事、新宿青鮫の罠にかかり、刑務所にブチ込まれた万吉。そこは青鮫の手がかかった囚人たちが待っていた!身の毛のよだつ毛深い熊のような男たちに、たちまち全裸にされる万吉!

100キロを越えるデブが飛び上がり、全体重をかけて、万吉の玉の上に両膝を落とした!あまりの苦しみにゲロと螓便の混じった物をマーライオンのように口から吹き出す万吉!さらに、明らかにゲイとわかるチョビヒゲのダンディな男が、おもむろに万吉の口をこじ開け、無理矢理しゃぶらせた!初めて男の精液を飲まされ苦悶して転げ回る万吉!

そしてついに男のバズーカ砲が、万吉の菊門を貫いた!肛門が裂けて一生、ウンコが垂れ流しになってしまった!

ページ数:55P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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極道ラーメン・殺人太極拳


奴は急に速く動く!

新宿では中国人マフィアと地元暴力団の抗争が勃発していた。暴力団事務所に話し合いにきた中国人マフィアは、いきなり青竜刀を振り回し、日本人ヤクザの顔面を切り裂いた!怒った組長が日本刀で切り掛かるが、簡単に青竜刀で叩き折られる。

このままでは歌舞伎町に螓の雨が降ってしまうと、組長は怒りを抑えおもむろに自分の指を切断し、中国人マフィアに差し出し、抗争を終わらせようとした。

ところが、指詰めの習慣など知らない中国人マフィアは、組長の謎の行動をあざ笑い、しまいには切断された指に、小便をかけて侮辱した!激怒した組幹部を中国人マフィアは、青竜刀で串刺しにして殺した!

抗争する2つの組織の間で、万吉のやり場のない怒りが爆発する!

ページ数:50P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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第80回配本
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極道ラーメン・新宿サイコ


直径30cmを無理矢理入れた!

新宿で連続レイプ殺人事件が起きていた。まるで長さ1m、直径は30cmを越えるペニスで貫かれたかのように女の性器は裂け、内臓まで達していた!現場に残されていた精液の量は1Lもあった!

超人的な精力をほこる万吉はその犯人ではないかと疑われる。ところで極道ラーメンの常連客に変な小男がいた。この男、身体は小さいが興奮すると頭がペニスのように変形し巨大化するのだった!中略!怒り狂った万吉は血を噴き出しながら死につつある両親の目の前で、その娘の女子大生を全裸にし、一気に貫いた!大量に中出しされて泣き出す女子大生!

ページ数:50P
ジャンル:キチガイ漫画
著者:神田森莉
発行:ハムスター商事(Hamster Books)


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