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・人間の心

 ラーメン珍長。
 開店前にキャリーこと小杉浩子が、珍保長太郎を訪ねてきた。キャリーは腐敗した豚の脂と血でべとべとになった店内を見て顔をしかめた。
「汚い……」
 キャリーは潔癖性だった。
「確かに関東一清潔だとは言いがたいことは確かだ」
 珍保長太郎は力強く答えた。
 「いつも出前だったので店に来たのは初めてですが、これは好きになれそうにありません」
「うーむ」
 答えようがないので珍保長太郎はうなった。
 キャリーの証言でウンコキラーの正体は死にかけ老人こと大山田統一郎だとわかった。珍保長太郎の疑いは晴れた。だが、こんどは大山田老の目玉にウンコを突き刺して殺したのは誰か? ということが問題になった。
 キャリーはこの部分は気絶して見ていなかった、と警察には証言していた。
 刑事青赤は、北沢警察署をゆうゆうと出て行く珍保長太郎を悔しそうに睨みつけた。
 ミザリーこと神保千穂の死体が出てくると、話はまた違ってきそうだが、現時点では神保千穂は、ウンコキラーがらみの消息不明案件とされていた。おそらく、死体はいまごろ玉川上水のアカミミガメと鯉の胃の中であろう。
「命を助けてくれてありがとうございます。あなたに言われた通りに警察には話しましたがこれで良かったかしら?」
「たいへんにけっこうです。なにしろ、私は警察とは相性がよくありませんからね。疑われてきびしく追求をされるといくらでもボロが出てくるこの身。本当なら15回くらいは死刑になってもおかしくはありません。猫ではないのでそれでは死んでしまいます」
「それにしてもラーメン屋が殺人鬼だなんて……。にわかには信じられません」
 キャリーは困惑した顔で店長を見た。
「人間の心というものは奥が深いものです」
 わかったようなわからないことをつぶやく珍保長太郎。おそらく、とくに意味は考えないで言ってると思われる。
「ああ〜」
 よだれをだらだらと垂れ流しながら、バカがうつろな目で奇声をあげる。公園で女装していた男だ。服装を見るとここの店員のようだが目つきがおかしい。キャリーはおびえてあとずさった。
「彼はどうしたんですか?」
「これは店員のバカです。心労が重なり、とうとう人格が崩壊してしまったのです。変な声をあげて店内をうろうろするだけなので、毎回、帰すのですが、それでも毎朝、出勤してくるのです。おそらく、心の中ではなにかがループしているのでしょう」
 珍保長太郎は神妙に答えた。
「ウンコキラーにウンコで刺されてしまった女装の人ですね。そのショックで立ち直れなくなってしまったんでしょうか? そういう意味ではこの方もウンコキラーの犠牲者の一人ですね……」
 キャリーは介護士なのでかわいそうな人間には同情的だ。
「もちろん、そうですッ! その通りですッ! かわいそうなバカくんッ!」
 珍保長太郎の答えは性急すぎて、かつ強調が多すぎた。
 キャリーはしばらくの間、疑いの目で珍保長太郎を見ていたが、けっきょく、なにも言わないことにした。
「ほげほげ〜」
 バカは冥府をさまよっていた。

 キャリーは帰っていった。いちおう、お礼のつもりでラーメンでも食うつもりだったが、店内を見て食欲をなくしたのでやめた。二度とここに出前を頼むのはやめようと、心に誓った。
 
 代田橋商店街の道路を去っていく若い介護士を見送る珍保長太郎。ほこりっぽい風が吹いて、彼女のスカートの裾がひるがえった。夏の空気に秋の気配が感じられた。
「今日もいい天気だ」
 珍保長太郎は蛇のように笑って店内に引き返した。それからバカを追い出して、開店の準備を始めた。



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